障害者雇用のススメ はじめて障害者雇用に取り組む
企業担当者の皆様へ
基礎知識編 その1

【2018年最新版】
障害者雇用促進法とは?

障害者雇用という言葉を耳にして久しい現代ですが、まだまだ浸透していないのが現状です。この記事をお読みの皆様の中にも下記のような疑問があるのではないでしょうか。

4月に法定雇用率が引き上げられたけれど、障害者雇用の義務化はすべての企業が対象なの?
精神障害者雇用も義務化されたけれどどう雇用すればいいのだろう?発達障害者も対象に含まれるの?
法定雇用率を達成できていない企業は名前が公表になるのかな?
障害者雇用に取り組みたいけれど、何の法律を根拠に、どう進めればいいの?

障害者雇用が義務化されるのは、その企業で雇用している従業員数が基準となります。
詳しくは障害者雇用納付金について~従業員数100名超の企業は要注意~にて後述しますのでご確認ください。
最新の法改正についてお話をする前に、そもそも「障害者雇用促進法」とは何かを説明いたします。

障害者雇用促進法の目的とこれまで

承知の方も多いかと存じますが、障害者雇用促進法の目的をご紹介します。

・障害者の雇用促進と安定
・障害者が職業に就くため、また就いてからの職業リハビリテーションの推進
・障害者の自立の推進

つまり障害者の能力を生かせる場を作り出すということが目的です。また、企業様自身も障害者が持つ能力を日々の仕事に生かすことが可能となります。

例えば、流れ作業などの軽作業は慣れれば障害者でも十分対応することができ、むしろ丁寧な仕事をしてくれるという声も多く耳にします。まさに適材適所の仕事が実現するというわけです。

また、働きやすい環境作りや周りの従業員の配慮があれば、健常者と同レベルで仕事をすることも不可能ではありません。

では、障害者雇用促進法制定の流れから順を追って、2018年度最新版までを簡単にご紹介します。

障害者雇用促進法は「障害者の雇用の促進等に関する法律」の略称です。同法が障害者の雇用促進に関する法律として1960年にはじめて「身体障害者雇用促進法」として制定されて以来約60年の間に、以下のとおり改正されてきました。

昭和35(1960)年
身体障害者雇用促進法の制定
法定雇用率: 公的機関は義務、民間企業は努力目標
昭和51(1976)年
すべての企業に法定雇用率を義務化(納付金制度も施行)
当初の法定雇用率は1.5%
昭和62(1987)年
「障害者の雇用の促進等に関する法律」に改正
法の対象範囲を、身体障害者から、知的障害者や精神障害者を含む全ての障害者に拡大
平成10(1998)年
知的障害者の雇用の義務化
平成28(2016)年
事業主に障害者に対する差別の禁止・合理的配慮を義務化
平成30(2018)年
精神障害者についての雇用の義務化、法定雇用率引き上げ

上記の通り、平成30年(2018年)4月1日から改正が施行され、障害者の雇用機会を更に拡大していくことが求められています。

障害者雇用促進法の概要

ここからは障害者雇用促進法の概要として、雇用する事業主に対する措置と障害者本人への措置に分けてご紹介します。

まず雇用する事業主に対する措置は、大きく分けると雇用義務制度と納付金制度の2つに分かれます。

1つ目の雇用義務制度とは、以下に定められた障害者雇用率(法定雇用率)を満たす人数を雇用することです。

・民間企業(従業員45.5人以上) 2.0%→2.2%
・国、地方公共団体、特殊法人 2.3%→2.5%
・都道府県等の教育委員 2.2%→2.4%

平成30年4月より法定雇用率は上記の通り引き上げられ、平成33年4月までには民間企業(従業員43.5人以上)は2.3%(他機関も同様に0.1%引き上げ)になり、今後もさらに上がることが予測されます。

2つ目の納付金制度には、納付金・調整金と各種助成金があります。

障害者雇用納付金制度は、法定雇用率を満たしていない企業から納付金を徴収し、障害者を多く雇用している事業主に対して調整金等を支給するものです。

また各種助成金には、発達障害者などの雇用をすることで助成金を採用時に受けられるものもあります。また施設設置や介助者を配置した際にも納付されます。

いずれも詳しくは障害者雇用納付金制度とはをご覧ください。

続いて障害者本人への措置としては、以下の地域の就労支援関係機関において、障害者の職業生活における自立支援が実施されています。

・ハローワーク(全国544か所)
・地域障害者職業センター(全国52か所)
・障害者就業・生活支援センター(全国332か所)
・就労移行支援事業所(全国約30,000か所)

ハローワークでは職業紹介や指導、地域障害者職業センターでは仕事につくための準備訓練など、障害者就業・生活支援センターでは就業後のサポートを生活面も含めて請け負っています。就労移行支援事業所では職業訓練・職場探し・長く職場に勤められる支援などを行います。

つまり雇用する企業側と障害者の双方が安心して取り組める制度が整備されているのです。

障害者雇用促進法の
改正ポイント 4つ

ではここからは平成28年4月(一部公布日又は平成30年4月)における障害者雇用促進法の4つの改正ポイントについて具体的にご紹介します。

①障害者に対する差別の禁止、合理的配慮の提供義務

1つ目は差別の禁止と合理的配慮の提供義務があげられています。

差別の禁止とは、障害者であるということを理由に雇用時及び待遇面で差別を受けることがないようにしようという決まりです。これらは実際に過去に障害者であることを理由に差別を受けた事例に基づき、以下のように定められています。

<募集時>
・採用を拒否
・賃金の引き下げ、低い賃金設定、昇給機会を与えない

<採用後>
・研修、実習などを受けさせない
・食堂、休憩室などの利用の制限

これらには障害者の権利を守る意味合いがあります。ただし障害者の職業能力を適正に評価した結果であり、それが説明できるものであれば扱いが異なったとしても問題にはなりません。

合理的配慮の提供にも募集及び雇用時と採用後に取り決めがなされています。簡単に言うと、障害として認められる範囲の正当な配慮を行うことです。以下に具体的な例をご紹介しますね。

<募集時>
・面接時に就労支援機関の職員などの同席を認める
 →発達障害者の障害特性などを面接官に知ってもらったり、障害者の不安を取り除くため
・回答時間の延長や制限時間の排除、面接を口頭ではなく文字や図のやり取りに変更する
 →本来の能力を発揮しやすくさせたり、コミュニケーションを円滑にするため

<採用後>
・仕事上のアドバイスや相談を受ける人を選任にすることで、混乱を避ける
・業務の説明や指示を分かりやすくするために、文章・絵・図などを用いる
・障害者同士がお互いに協力し合えるピアサポート体制を取り入れる
・雇用者との障害者の調整相談員の配置
・通勤時のラッシュなどによる負担を減らすため、勤務時間の変更

さらに詳細な事例は合理的配慮指針事例集にありますので一度目を通してみて下さい。

これらもまた雇用側に過重な負担を与えない程度とされています。

差別の禁止と合理的配慮の提供義務が守られていない場合は、必要に応じて厚生労働大臣から事業主に対して助言や指導もしくは勧告がなされます。

ただし雇用側を罰することが改正目的ではないため、障害者雇用に取り組む基本的な考えとして持っておいてください。

②苦情処理・紛争解決援助

2つ目は苦情処理・紛争解決援助です。

雇用している障害者から前述の差別の禁止、合理的配慮の提供義務が守られていないと不満の声が上がることもあるでしょう。

その一方で、採用をした障害者に対する苦情を社内外から受けることも考えられます。障害者の指導・相談担当の従業員や配属部署の既存メンバーなどに対して負担が大きくなったり、障害の特性からくる癖(独り言、貧乏ゆすり、目が合わせられない等)により、お客様に不快感を与えてしまうこともあります。こちらに具体的な事例と対応案が紹介されているのでぜひ参考にしてみてください。

苦情処理については、企業内において自主的に解決を目指すことが努力義務とされています。
自主的な解決が難しい紛争については、紛争調整委員会による調停や都道府県労働局長による勧告などを行うことができます。

③法定雇用率の算定基礎の見直し

3つ目は法定雇用率の算定基礎の見直しです。

法定雇用率の算定基礎の対象に、「精神障害者(ADHDなどの発達障害を含む)」も追加されたのです。以下に法定雇用率を求める具体的な算定式をご紹介します。

(身体障害者、知的障害者及び精神障害者である常用労働者の数)+(失業している身体障害者、知的障害者及び精神障害者の数)

(常用労働者数)-(除外率相当労働者数)+(失業者数)

ちなみに除外率相当労働者数は以下の式で求められます。

除外率相当労働者数=常用労働者×除外率

除外率は業種によって異なりますのでこちらをご覧ください。除外率は業種によっては障害者に不向きなものもあるため、業種間の不均等を無くすことを目的としています。

              

④※平成30年4月から※精神障害者の雇用義務化、法定雇用率引き上げ

4つ目は上記と重複する部分もありますが、精神障害者(発達障害者含む)の雇用義務化と法定雇用率の引き上げです。

法定雇用率の算定基礎の見直しとして精神障害者が追加されたのは精神障害者も雇用義務対象となったからです。

また法定雇用率も前述の通り0.2~0.3%引き上げとなっています。以下に平成30年4月からの数値を再度記載しました。法定雇用率は今後も原則的に5年ごとに見直しが入ることが決まっています。

・民間企業 2.2%
・国、地方公共団体、特殊法人 2.5%
・都道府県等の教育委員 2.4%

ただし今回の法改正後も5年間は猶予期間となっています。つまり平成35年3月31日までは法定雇用率を満たしていなくても罰則規定はありません。そこで猶予期間に社内体制を整え、徐々に雇用障害者数を増やしていくことをおすすめします。

ページ上部へ戻る